WorldIsYours


音楽好きな日本人のブログです
I'm japanese.
I like music.

「日本を停止します」

アナウンスが流れるとあらゆる機能が停止した。
崩れ落ちた道路の下を覗きこむと、つぶれた道と車の隙間から人が半死半生の姿でワラワラと這い出てきた。
蟻の巣に長い棒を突き立てた時のようであった。

人々は興奮し、混乱していた。少しでも遠ざかろうと沢山の車が縦横無尽に走り抜けた。

私も白いバンに乗り逃げている途中だ。
暫くすると、塀を破った犯罪者たちが道に溢れ始めた。よく見ると私の夫が車と平走している。
私は生まれたばかりの我が子をおくるみに包むと彼の背中に飛び移った。


我々は神社の様なところにたどり着いたようだ。
多くの人もその場所で休息をとっている。
生まれたばかりの我が子を、抱えられるほどの桶に入れ石段を進む。
石段は徐々に勾配を強め、いずれ絶壁のようになってしまった。しかしこの石の山の上まで行かなければいけない。
私は泣きたい気持ちがした。横を見ると同じように桶に我が子を入れた女がメソメソと泣いていた。
より高いところに我が子を置かなければ、この子は天国にいけないらしい。

肺が痛む程の嗚咽が洩れてきた。絶壁にしがみつくので精一杯だ。後を振り替えると地上で男たちが談笑している。

私は愈々絶望的な思いがしていた。頭も肺も益々痛んだ。嗚咽と共に内蔵が飛び出そうであった。

「聖者の行進」が高らかに流れている。

私は我が子を山に置くのをやめた。しかしもう与えるミルクもなくなった。
この子を連れてさ迷うことにした。